『常識』とは案外と自分の半径何メートル、もしくは何キロメートル内ぐらいの事であって
それは自分が経験をしてきた中で選別をされて認識される。
おそらくその選別の元となるのは『世論』
…とまぁ、そんな小難しいことは別として…。

この世界が幾重にも層になっていると仮定して、そのうちの一つが私達のいる世界。
そして、また別の層に漫画・アニメの世界が誰かの手によって描かれたものでないとして、
キャラクターそれぞれが自我を持っている、つまり私達の言う常識的に限りなく近い
世界だったとしたら?



#特別編 『タク

「もぅ!ゆうちゃんのばかっ!!」
「アイさんっ!」

ほんっとうに他愛もない言い争い。と、
いうか一方的に私が怒鳴っていただけ…。

「わたし…今日は帰りますね…。…また、
 電話します。」
「………。」

バタン…。


あぁもぉ、私のバカッ。なんでこんなに
意地っ張りなんだろう…。でも、どう
してもいえないの。

「もぉ!せっちゃんのあほ!!」
「お、お嬢様っっ!」

本当にちょっとしたことだった。
私は、お嬢様のためにはどんなことだって
できる。。命だって捧げる覚悟もある。
だけど…。

「も、えぇわ。……。」
「お嬢様…。」

長い髪をなびかせながらお嬢様が
去っていく。
…ここは追いかけなくてよいのだろうか…。

でも、お嬢様の為をおもっての事、
だったんだけど…。



■『タク』@野 

「ダメだっ」

何度目の電話なんだろう…。全く出る気配のない電話。…どうしよう。
今まではこんなことあまりなかった。と、言うかなかったとおもう。

そんなに怒っちゃったのかな…。でも、ゆうちゃんだってはっきりしないのが悪いんだもん。
そりゃ、私がものすごーく怒鳴り散らしたのは悪かったとおもうけどさ…。

「……。」

でもこんなしょうもないことで喧嘩して、そんで気まずくなるなんてやだ!
再び携帯と向き合って何度もコールする。

『………プ、プ、プ………ガ、…ガーぴー…』

え?なにこれ、FAXみたいな音がしてるジャンっ
耳に痛い雑音をしばらく我慢して、もう少しコールを粘る。
…いったいどこにいるのやら…。どんだけ電波の悪いトコにいるのよっ。

『サー……サー』
??つながった??

「も、もしもし?ゆうちゃん?」
『……ぁ……ど……。』
「もしもし?よく聞こえない。ね、今どこ?」
『…………プッ………ツーツーツー…』

?電車?の割にはなんだか様子が変だったような気がするんだけど。
ちょっと…心配かも…。

もう一度かけるべきかどうしようか迷っていた時。
今度はテレビ電話で着信。…え?ゆうちゃん?テレビ電話で着信って
めずらしいな…。
とりあえず、受信しようとテレビ着信のボタンを押す。

「??」
あれ?砂嵐?

『…し………も……、もしもし!!』

?ゆうちゃん?

「もしもし?ゆうちゃん?」
『その声は…木乃香お嬢様!?』

???え?木乃香??ゆうちゃんってばこんな時に何やってんだか…。

『聞こえますか?…お嬢様、今どこに?』
「え?えーっと自分の部屋だけど…。っていうか、なんでせっちゃんの声で
 しゃべってんの?」
『え?……おかしいな…声は確かにお嬢様なのだけど…』
「?ゆうちゃん?」

なんだろう、変な違和感がある。

『刹那さん、どうなの?』

??カンダさん?

『あ、明日菜さん…それが…。』
『あ!分かりました!わかりましたよっ!刹那サン!』
『本当ですか!?ネギ先生!!』

えーーーっと…。なにこれ?私は今、一体何としゃべってるのかしら…。
…ちょっとまって…理解が…。

『すいません、こちらとそちらの事情が違うようなのですが、どうやら魔法が
 暴走してしまっているようなんです。…信じていただけるか分からないのですが』

り、利奈さんまで?からかってるの??

「えーっと…ここは私も参加したほうがいいの?…だったら…訛るけど (汗」

さっぱり状況が判断できないまま私は砂嵐の画面の向こうから聞こえる、
ネギま!のアフレコを聞き続ける羽目になった。


■『タク』@桜 


「ネギ先生、なにやら様子がおかしいのですが…。」
「おそらく、木乃香さんが使った魔法に原因があるかとおもわれます。」

木乃香お嬢様がいなくなってからすでに4時間経過していた。
ちょっとした行き違いでお嬢様が怒ってお部屋を出て行き、
すぐに追ってみたのだが、既にお嬢様の姿はなく、代わりにお嬢様のお部屋に
なぜか魔法陣が描かれた紙切れと、見慣れない携帯電話だけがぽつんと
置いてあった。

「兄貴ぃ、これはおそらく時空魔法の魔法陣ですぜ。」
「うん、木乃香さんは一体何をしようと思ったんだろう…。」

ネギ先生とカモさんがじっと魔法陣を見ながらそう会話する。
側にいる明日菜さんも、木乃香お嬢様の事を相当心配しているようだった。

それにしても、本当にどちらへいかれたのやら…。

「兄貴、追跡魔法で何とかならないっすかね…。」
「なんだかまた複雑な魔法になっているみたいだから、ちょっと…。…あ!
 そうだっ!エヴァンジェリンさんなら、なんとかしてくれるかもしれない!」
「それだっ!兄貴っ!」

『あのー、もしもしぃ?利奈さんたちもぉ…そろそろ普通にしゃべりませんか?』

はっ!そうだった!この、電話の向こうにいるお嬢様そっくりの声の主を
すっかり忘れてしまっていた。

『とりあえず、ゆうちゃん、いますかぁ?』

「すいません。私達にはあなたが探している"ゆうちゃん"という人物がわかりません。
 この携帯電話もここに置いてあっただけなんです。」
『え?…ほんとうにゆうちゃんじゃないの?』

私の声に電話の向こうの声はそうつぶやいた。…よほど、その"ゆうちゃん"という人物は
私の声に似ているのであろう。この、声の主だってお嬢様とそっくりなのだから、
動揺する気持ちは理解できる。

「あの、…お名前を聞いてもよろしいでしょうか」

ネギ先生が声の主にそう、聞いてみた。

『え?…私は…藍。野中藍…だけど…。利奈さん、本当にどうかしちゃったんですか??』

「野中さん、今からお話しすることを良く聞いてください。ひょっとしたら貴方のお知り合いも
 木乃香さんの魔法に巻き込まれてしまった可能性があります。」
『へ?……魔法?』

電話の相手『野中 藍』という人物にネギ先生はそう伝え、このままエヴァさんの
所へ行きましょう。と提案した。

■『タク』@小 ゆ


「…ここは…どこ?」

アイさんと言い合いをして、あまりにも悲しくなって…それから飛び出したところ
までは覚えているのだけれど、どう思い出してもその後が思い出せないでいた。

気がつくと真っ白でどこからどこまでがお部屋でそのうちどちらが上か下かも
わからなくなり、座っているだけでめまいを覚える。

「…いったいどうなってるの…」

訳もわからないままうつ伏せに寝転がると、なんとなく、きっとこちらが床だと
体が反応して酔っているような感覚が少しおさまる。

こんなことなら喧嘩なんてしなければ良かった。あの時、私が飛び出したり
しなければこんなことにならなかったのに。

「…アイさん…。」

私がそう、名前を呼んだとき、自分のすぐ後ろから声をかけられた。

「誰かおるん?」

聞き覚えのある、一番聞きたかった声に驚いて私はすぐに起き上がり、声の
するほうへと体を向けた。

「アイさん!?」

…後ろをふりむいたけど、そこには相変わらず白い世界が広がっていて
誰もいなかった。

「せっちゃん?」
「えっ!?」

もう一度呼ばれて確かに声のほうに視線を落とす。
すると、自分の足元に木乃香お嬢様の絵があった。

「木乃香…お嬢様?」
正直に言うと、全く理解ができなかった。ただ、最初に思ったのは、たぶん
これは夢をみているのだろうということだった。

「あなたは誰なん?…なんで…せっちゃんの声なん?」

足元にいる平面な彼女は、アニメで見るそのもので、声はアイさんそのものだった。

この世界は不思議で、まるで次元が破壊された世界。
私は三次元で、彼女は二次元。だから彼女は平坦で私は立体的。
算数をちゃんと勉強してるからそれくらい誰だって分かる。
私は平面に座っている彼女の側へ行き、同じようにその手前で覗き込むように座った。

「…はじめまして。私は小林ゆうと申します。」
「…うちは、近衛木乃香いいます。よろしゅうに…。」
「はい、よろしくお願いします。」

おそらくお互いに不安げな顔であったけどなんとなく、あいさつをしたことで
少しほっとした。

「…うちの魔法のせいやね。」
「え?魔法?」
「…うち、勝手に難しい魔法を使こて…また失敗してしもたみたいやな…。」
「…また?」
「前にも、同じように魔法試してみたんやけど、うちの京都弁のせいでイントネーションが
 違うんやろね、…ぜんぜん違う魔法になってしもて、せっちゃんに迷惑かけてしもたんょ…。」

悲しそうに閉じるまぶたは、さすがに架空の人物だけあって美しく描かれている。

「…お嬢様はまだ、魔法を習い始めて間もないはずですから、仕方がないとおもいます。」

二次元のキャラクターなのに、妙に親身になって聞いてしまうのはやはり、思い入れのある
キャラクターでもあるし、何より、藍さんの声だからということだとおもう。

「うち、どうしても時間を戻してちっちゃい時のせっちゃんに会たかったんゃ。…うち、
 もう一度せっちゃんに、このちゃんって呼んでもらえるような関係になりたいんょ。」

寂しそうな表情をして目をうるうるさせながら平面の彼女はニッコリと、でも切なそうに笑う。

「…大丈夫ですよ、お嬢様。その思いはきっと刹那に届きますから。」

何の保障もなかったけれど、私はまるで自分が刹那のような気がして、そして彼女が
アイさんのような気がして、そう、自信たっぷりに答えた。

「…ありがとぅございますぅ…。…なんや、声がそっくりやから、せっちゃんとしゃべってるみたいやわ〜。」
「私もですよ、お嬢様。あなたのお声は、私の大切な人の声、その物ですから…。」
「…そぅなんや……。なんや、うちら、よう似てるンやね。」
「そうですね。」

私と木乃香お嬢様は微笑み合ってお互いに手を重ねて見る。


■『タク』@衛 乃香


数時間前…。うちはせっちゃんとちぃさな事で喧嘩してしもた。
原因は簡単な事や。…せっちゃんがあまりにもうちに対してよそよそしぃから
せめて昔みたいに『このちゃん』って呼んで欲しかったんやけど…。

「勝手に見て堪忍な……ネギくん…………あ、あったコレや。」

ネギ君の本棚から魔法辞典を取り出してむづかしい言葉はよぅわからんから
前の様にパラパラと絵を便りに探していった。

「あ、あった…これやぁ!…えっと…何て読むんやろ…。Ubiquitous…
 ゆビクゥイトウす…?…そうだ!夕映ちゃんなら知ってるかもしれへんわ!」



「これはユビキタスと読むのです。意味は同時偏在や時空自在とも言います。
 もともと近代ラテン語で 「同時にいたるところに神が存在する 」という意味の
 ubiquitas を語源とする形容詞と言うわけです。
 現在では発達したコンピューターネットワーク社会の事を指す事が多く…。
 つまりはどこにいても管理化された社会の延長線上に私たちがいて…。」
「ゆ、夕映ちゃん、ありがと!ようわかったわ〜!!いやぁ〜ほんまに助かった
 ありがとなぁ〜。」
「あ、木乃香、まだ話は終わっていないのですよぉ〜!」

ふぅ…あのままホゥって置いたら日が暮れるとこやったわ…。
…時空って事は、たぶん、過去に戻れたりするんやね!

うちは部屋にもどって本を見ながら魔法陣を描いて、早速杖をかざして
呪文を唱えてみた。

「………volare ubiquitas!!」

パァーーーー!っと魔法陣が光りはじめて、紙から浮き上がり広がり始めた。
その光にうちは、驚いとる間もなく、飲み込まれてしまった。





気がつくとそこは真っ白で何もない世界。
横を向いても後ろを向いても上も下もわからへん。

「…うち…失敗してもぅたんやわ…。…どないしょ…。せっちゃんも、
 明日菜もネギ君もおらへんのに…。うち、もぅ帰られへんのやろか…。」


■『タク』@野  


取りあえず、へんてこな電話が今のところ、ゆうちゃんを探す鍵だと
言う事は理解して、次にこの電話の向こうの人たちが、もしかしたら
本当にアッチの人…っていってもどっちかわかんないけど…。
とにかくなんか、こぅ…違う次元の人たちってのがようやく理解でき
初めていた。

つまりは、こう。この電話の向こうはネギま!の世界が存在していて
誰かが描いてキャラが動いているわけではなく、向こうは向こうで
自立してて、私たちの世界と同じ様に動いてる…って感じなのかな。

『ふむ。巻き込まれたというわけか…。木乃香も中々厄介な魔法を使ったもんだ…』
『で、木乃香さんとゆうさんは助ける事ができるのでしょうか…』

電話の向こうでネギ君がおそらくエヴァちゃんに相談してお願いしている様だった。
なんだか不思議で、でもCDドラマを聞いているようなちょっと当たり前な
気分だった。

『出来ん事もないが、めんどくさい』
「えっ!?」

うわー、そのままだ…。でもマンガやアニメなら必ずエヴァちゃんは
助けてくれるはず。

『ふがっ!!いーーーーだだだだ!!にゃ,何をする!!』
『人が困ってるんでしょー!助けなさいよぉ!』

あぁ…おそらく明日菜がエヴァちゃんを抓ってるんだろうなぁ…。
もぅどう考えても神田さんと松岡さんがでてくるんだけど…。
でも、ここは一応私からもお願いした方が良さそうだよね。

「わ…私からもお願いしますっエヴァちゃんっっ」
『ん?…今木乃香の声がしなかったか?』
『だから、この方はおそらく別次元の方で木乃香さんと繋がっている
 方なんだと思われるんです。』
『その、巻き込まれてしまったゆうさんと言う方はおそらく私と…』

せっちゃんの声を聞いていると隣にゆうちゃんがいるみたいで
少し切なくなる。

『ほぅ…おもしろい。…なるほど。……気が変わった。手を貸してやろう。』
『本当ですかっ!?』
「ありがとうございますっ!」
『なによ、最初っからそのつもりなんじゃなぃ〜』

『ぅるさいっ!……と、とにかく、このままでは事情が聞きにくい。
 その電話の向こうのお前』
「え、わ、私?」

エヴァちゃんに指名されるとちょっと怖い…。妙な緊張がはしる。

『大きな鏡はあるか?』
「え…えと、姿見なら…。」

『そいつの前に立て。』
「え、はぃ…」

電話向こうのエヴァちゃんに言われるままに私は半信半疑で鏡の前に立つ。

『いいか、今からその鏡をゲートにする。私の詠唱が始まったら鏡に手を置け。』
「は、はいっ」

ゲート??なに?わたし、向こうの世界にいっちゃうの?

『坊や、お前も手伝え、私が時空魔法を唱えるからお前はその電話から追跡し、
 ゲートから彼女を喚び寄せろ。』
『は、はぃっ』
『行くぞ!』『はいっ』

うわ〜CDドラマだ!ぜったい!…なんてのんきな事を考えていると、
電話の向こうから呪文が聞こえ始める。

『リク・ラク ラ・ラック ライラック…』
『ラス・テル マ・スキル マギステル…』

言われた通りに鏡に手を置くと鏡が水面の様に一度ゆらっと揺れる。
驚いて手をすくめようとしたけど、自分の意思とは反対にドンドン
鏡に飲み込まれて行く。

「ちょっ…まっ!!!!」

辺りがカッと光って目をつむる。辺りが一瞬白くなって意識が遠のいて行く。
遠くの方で携帯電話が床にゴトッと落ちる音がした…。



■『タク』@桜 


「この方がそうなんですね…。」
「うむ。鏡面をくぐって来たために、本来の彼女の姿とは左右が逆であろうがな…。」

「へー、この人が、向こうの木乃香かぁ…。なんか大人だなぁ〜。」
「でも、可愛らしい方ですよ?」

た、たしかに…。お嬢様よりは髪も短く、年齢も上だろうが…
なんていうか…まつげの長いところとか女性らしい体のラインとか
確かにお嬢様らしい…。

「刹那さん、今ときめいてない?」
「ととっ!!ときめいてなんかいませんっ!私はただ、確かにあちらの
 世界での木乃香お嬢様なだけあって、大変お美しい方だと…。」
「…やっぱりときめいてるぅ。」
「めいてなーーーーぃ!!」

まったく!!私がお嬢様以外にあり得ませんっ!
…ま、まぁ…あちらの世界ではこの方が木乃香お嬢様ということですから
ど、ドキドキしてしまうのはいた仕方ない事だと思われるのですが…。

「んぅ……」

「気がついた様だぞ。」
「大丈夫ですか!?」

目を開けてゆっくりと立ち上がるそのヒトは背丈も丁度お嬢様と同じ。
ふんわりとした雰囲気も、お嬢様特有のはんなりというそれになんとなく
似ている。

「…は…はじめまして…。野中藍です…。」

「はじめまして!野中さんっネギ・スプリングフィールドです。」
「はじめまして、ネギ先生。」

嬉しそうにネギ先生が野中さんの手を握り挨拶をしている。

「神楽坂明日菜です。よろしく!」
「はぃ、よろしくね、明日菜。」

「我が名は…」
「エヴァちゃんね!うわーーほんっとにフランス人形見たいぃ〜かわいぃ!」
「なっ!?こ、こら、頭をなでるなっ」

人懐っこく笑う人だな…なんて思いながら彼女を見ていると
ゆっくりとこちらを向いてわたしに向かってまっすぐ歩いてくる。

「はじめまして。せっちゃん。」
「は…はじめまして…。」

声がお嬢様なだけ余計にドキドキする。

「そっかー。せっちゃんは以外とちっちゃかったんだねぇ〜。うわー…。」
「ち…近いですってば…。」

私が後ろにたじろぐと彼女は笑いながらごめんごめんと謝った。

「やーっぱり刹那さんってばときめいてるぅ〜」
「明日菜さんっ!!だからーときめいていませんっ!私がお嬢様以外に
 ときめくなんて滅相もない!!」
「…刹那さん、今さらっと木乃香がスキだって言ったでしょ。」
「はっ!!」

し、しまったーーー!申し訳ありませんっお嬢様!私のこんな邪な思いは
私の気持ちの中で噛み砕いて、表に出ないようにしようと思っていたのにっ!!

「いいんじゃないの?素直にスキだって言えば。木乃香だってせっちゃんの事
 大好きよ?…言わなきゃ分からない事だって…ある…みたいだからさ。」

野中さんがそう言った後になぜか少し悲しげな表情をした。

「ん、んぅん!!…もぅ、そろそろ本題に移っていいか?お前ら。」
「あ、申し訳ありません。」

少々あきれ顔のエヴァさんが本題から大きくずれかかっていたその場を
修正した。

「で、どうしたらいいんのでしょうか…。」
「うむ、まずは、なぜお前のパートナーが木乃香の魔法に巻き込まれたか、だが。」
「…はぁ…ぱ、パートナー…ねぇ…。」

ネギ先生以外椅子にかけて木乃香お嬢様とそのゆうさんという方を救出すべく
策を練る事にした。

「おそらく、こうです。…我々の住む世界と平行線上に野中さんや巻き込まれた
 ゆうさんの住む世界があると思ってください。」

ネギ先生が黒板にチョークを滑らせる。

「この時空魔法と言うものは使い方が色々ありまして、かなり高度な魔法の
 部類に入ります。」
「木乃香には元々備わっている強大な魔力があるからな…。まぁコントロール
 出来ていない現状では、こうやって面倒くさい事件を引き起こす元になる
 だけだが。」

エヴァさんが片目を瞑り、やれやれとと言った顔で腕組みをする。
確かに…、お嬢様には可哀想かもしれませんが、エヴァさんの言う通りでしょう。

ネギ先生が黒板に図を描いている間に茶々丸さんがお茶を配ってくれる。
「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
「茶々丸。お前も座れ。」
「はい、マスター。」

エヴァさんに忠実に従い、茶々丸さんはエヴァさんの隣に腰掛ける。

「これで、よし、っと…。えーっとですね、木乃香さんが唱えた呪文は
 時空を飛び越える魔法です。しかし、この魔法はかなり高度で、先ほど
 僕とエヴァさん2人掛かりでやった様に、かなりの術者でも二人掛かりで
 やっと出来る魔法です。」
「うむ、片方が時空へ飛ばす準備をし、もう片方が座標をポイントする。こうやって
 はじめて確実に成功する魔法だ。」

ネギ先生とエヴァさんの話はこうだ。
2人がかりで本来はしなければいけない魔法を、木乃香お嬢様はお一人で、
しかも、時空へ飛ばす魔法しか唱えなかったために座標が定まらず、どこかの
世界に飛ばされてしまったというわけだ…。どこかって…。

「でも、なんでゆうちゃんなの?」
野中さんが説明を聞いてからはじめて口を開いた。

「はい、確かに。僕もそこがひっかかるのですが…。」
「刹那、」
「あ、はいっ」

エヴァさんに突然呼ばれて少し驚いてしまった。

「お前達、直前までなにをしていた?」
「え?…えーっと…たしか…。」

たしか、いつもどおりお嬢様とふたりでお部屋にてお話をしていた。その時に
たまたま幼少の頃のお話になって、そこからお嬢様から私に昔のように
『このちゃん』と呼んでほしいとお願いされたのだが、そこは私が近衛家に、
お嬢様にお使えすると心に決めた時からのけじめとして、お断りしたのだ。

そのことが発端でお嬢様と言い争いをすることになり…といっても私はほとんど
なにも言わなかったのだけれど、お嬢様は腹を立てて飛び出していってしまわれた…。
というわけなのだ。


「私は、ただ、けじめとして、お嬢様に分かっていただきたかっただけなのですが…
 結果としてこんなことになってしまって…。」

たったそれだけの事が…わたしが変な意地を張ったばかりに…。つらくなり目を伏せる。

「せっちゃん?…私達もおんなじなんだよ。…私とゆうちゃん。凄くつまらないことで
 言い争いをしちゃって。…といっても結局はいつも私が一方的におこっちゃうんだけど…。」

野中さんもまた、目を伏せ、悲しげな顔をする。

「なるほど…。それぞれ別の次元ではあるが、同じタイミングで、限りなく同一に
 近いお前達が、同じ状況を作り出し、同調を引き起こしてそのまま木乃香の
 魔法により、木乃香が求めていた『刹那』の変わりに『ゆう』を呼び込んで
 しまった。というわけか…。」

エヴァさんが腕組みをしたままそう説明してくれた。…なるほど…。お嬢様は
時空を超えてまで、私の何を呼び出そうとしたのだろうか。

「木乃香はおそらく、お前の過去を呼び出そうとしたに違いない。」
「私の過去…ですか…。………なぜ…。」
「…おまえはアホか。」
「なっ…。」
「これだから、ガキは…。…まぁそれは私の口から言うことでもあるまい。木乃香を
 助けだして、直接聞くことだな。」

「…ちょっと…何言ってるのかさっぱりわかんないんだけど…。」

明日菜さんが眉間にしわを寄せてこちらを見る。

「まぁ、状況と原因がなんとなくだが分かったんだ、後は何とかなるだろう。
 ふ、アワワ……そろそろ昼寝の時間だ。…茶々丸、寝るぞ。」
「はい、マスター」

「ちょっと、エヴァちゃん!?」
「後はお前達で何とかしろ…。この辺りのどこかに次元の崩れがあるだろう。
 そこを探せ。木乃香たちはその崩れの間にでも入ってしまっているだろう。」
「マスター、東方向に微かですが、異次元の兆候が見られます。」
「…だ、そうだ。じゃ、しっかりやれよ。」

言いたいことを言い終わるとエヴァさんは茶々丸さんと一緒に寝室のほうへ
行ってしまった。

「とにかく…茶々丸さんの言っていた東方向へ行って見ましょう。」

ネギ先生の提案に私達はうなずいた。



■『タク』@小 ゆ


「だれかー!!いませんか!?」

声をはって力の限り叫んでみてもどこからもなんにも返事がない。
足下には木乃香お嬢様が今にも泣きそうな眼で私を見ている。

「やっぱりあかん?」
「…今の…ところは…。でも、絶対に助けてくれます。…絶対に気づいてくれます。
 刹那も…アイさんも…。」

つなぐ事はできないと分かっていても、彼女の手の上に自分の手のひらを乗せて
大丈夫とお互い言い聞かせる。

「うちが、こんなことばっかりしてたら、せっちゃんうちの事、絶対にイヤになるわ…。」

お嬢様は目を伏せて涙をこらえる。

「…刹那はそんなことでお嬢様の事を嫌いになるなんておもいませんよ。大丈夫。刹那は
 世界中の中で一番お嬢様の事を大切におもっていますよ?」

私は自分にも言い聞かせるようにそう、言った。

「…せっちゃんがゆうさんみたいに、もっと自分の事言うてくれたら、うちかて不安になったり
 しーひんのに…。ゆうさんが…せっちゃんやったら良かったのに…。」
「木乃香お嬢様…。」

少し驚いてしまった…私の中の木乃香という人物像がちょっと変わった気がする。
お嬢様はどんな時でも穏やかで、ふんわりはんなりと包み込むような雰囲気をもっている
人だとおもっていた。…だけど、やはりそこは14歳の女のコなんだとおもわされてしまう。

 『ちゃんと言ってくれないと不安なんです…』

野中さんと直前まで喧嘩をしていたことを思い出してしまった。
…それはふとしたきっかけで始まり、あまりに冷たすぎる野中さんの態度に対して
不安を持ってしまった私が投げかけた言葉だった。

野中さんはあまり私の事を好きだと言ってくれない。野中さんが負けず嫌いで、
素直じゃないことはなんとなく知っていたけど、でも私も我慢できなかった。
いつもはそんなに不安になんてならないのに…。

「…アイさん……。」あなたは、一体私の事をどう思っているのですか…。

「!!っゆうさんっ後ろっ!!」
「えっ?」

急に木乃香お嬢様が叫んだのであわてて振り返ると今まで白一面だった世界が
どんどんと暗闇に飲み込まれ始めていた。

「なっ!!なにっこれっ!!」
「…こっちからもやっ!!」

私達の周りを急速に闇が取り囲み、あたりを見回しているうちにすっかりと赤黒い闇の中へ
閉じ込められてしまった。

「どうなっとるんょ〜!?これっ」
「わかりませんっ、ただ…先ほどより状況がだいぶ変わったようですね…。」

きがつくと私は木乃香お嬢様と同じ視点にいた。

「…次元がっ」…同化した!?

「ゆうさんっ!アレッ!!」

お嬢様が指をさした方向には得体の知れない、大きなうごめく影が低くうなりを
あげながらこちらに向かってくる。

「っ!!!お嬢様、こっちですっ!」

次元の境目がなくなったことで触れる事の出来る様になった木乃香お嬢様の
手を私は握って無我夢中で駆け出す。

「アレ、何なん??」
「わ、わかりませんっ!!」

刹那がいない分、私が彼女を守らなくてはいけない気がして、刹那の様に
担ぐ事は出来ないけど、せめてこの手だけは何があっても離さないと
心に誓った。


■『タク』@桜 


「………!?」

なんだろう、今もの凄く心がざわついた。…お嬢様…ご無事なのでしょうか…。

「あ、あれはなに?」

明日菜さんが指差した方には大きな広場があり、その中に不自然に
ぽつんと真っ赤な花が咲いていた。

「…兄貴、これ、もしかして。」
「うん…。おそらくこれが茶々丸さんの言っていた次元のゆがみでしょう…」
「え?この花が?」

ネギ先生の言葉ににわか信じる事が出来ない顔をしているアイさん。

「ゆがみって…花の中に木乃香とゆうさんがいるわけ?」
「違いますよ、明日菜の姐さぁん…。この花が直接次元のゆがみってわけじゃ
 ないんでサァ〜。刹那の姐さん、この花、ちょっと切ってみてくだセィ!」

「わかりました。」

カモさんに言われて夕凪を取り出し軽く花に向かって刃を振り上げる。

「うわぁ〜!!かっこいぃ!!!やっぱ真近で見るとホントせっちゃんは
 カッコいいんだなぁ〜。そりゃ木乃香も大好きになるわなー。」

「ッカッ!!!か、かかかかカッコいいだなんて、そんなっ」
「あー刹那さんまたアイさんにときめいてるぅ〜!」
「ときめいてないっっ!!」

アイさんの言葉に激しく動揺してしまった私を、また明日菜さんがからかう。
まったく…明日菜さんときたら…最近私をからかう事に楽しみを
見いだしてしまったようだ…。困るっっ…。

「みなさんっみてくださいっ!」

ネギ先生の言葉に花の方を見ると斬りつけたはずがゆらゆらとゆれているだけで
何もなかった様にもとの姿に戻る。

「…なぜ!?」
「こいつは、見えてる分にここにあるようだが、実はここにはいねぇんだな。
 おそらく別の次元に咲いてる花だ。」

なるほど…だからここが次元のゆがみというわけか。

「どうやってここからお嬢様達のところまで行くのですか?」
「うんうん、この花の中に入るの、無理よ?」
「んもぉ…ちがうってば明日菜ぁ〜」
「え?木乃香?」
「え?いや、…ついクセで…。」

数時間一緒にいた事もあり、すっかりアイさんが明日菜さんに対しての
木乃香お嬢様のポジションにいたりする。

「で、どうやって?」
「あ、は、はい。ぼくが時空魔法をつかってその亀裂を広げます。広げた瞬間に
 中に皆さんで飛び込みます。」
「へー、あんたにしては珍しく結構強引なやりかたなのねぇ〜」
「すいません、僕の力ではそれくらいが限界ですから。」
「ううん、いいよ、ネギ君はがんばってくれてるんだから。」
「あ、ありがとうございます、アイさん。」

まるで本当に木乃香お嬢様を見ているようだった。

「よし!じゃ、行きますか!!」
「あ、明日菜さん、お願いがあるんですけど」
「…なによ、ネギ」
「時空の亀裂は広がりますが、長い時間は大きさを維持できません。
 だから唱えた瞬間に飛び込むくらいのタイミングになります。」
「OKわかったわ、あんたを抱えてとびこめばいいんでしょ?」
「すみません。」
「いーわよっそれくらい。」

明日菜さんに頭をぐしゃっと撫でられてうれしそうにするネギ先生は
心から明日菜さんの事を慕っているのだとわかる。

「でわ、行きます。みなさん、準備はいいですか?」
「「「「はいっ」」」」

ネギ先生が杖をかざすと、ぽうっと青白い光が周りを取り囲む

『ラス・テル マ・スキル マギステル………テル・マ・アモリスタ!!』
「いまだぁ!!!」

カモさんの声にあわせて一斉に飛び込んだ!!!

タク』@野 


この、非常識で無理一杯の展開にいつしか流されて、とうとう魔法が当たり前だと
思い始めている自分の、適応能力の高さにまず驚いてしまった。

『ラス・テル…』

ネギ君がアニメそっくりに魔法を唱え始める…ふわっと光が広がる。

「アイさん、私の腕に捕まってください。」
「あ、ありがと、せっちゃん。」

ゆうちゃんじゃないのに…アニメのキャラなのに、少しドキッとしてしまう。
この短い間に何度もそんなことがあった。………って…これ、キャラ萌えなの!?

「いまだぁ!!」

カモくんの声の後にせっちゃんが行きますよっ!!と私を引っ張ってくれる。
なんだかゆうちゃんだったらどうするだろうとか想像してしまう。

「へっ!?」

『うわあぁぁぁ〜!!!!』

勢い良く飛び込んだ私達は突然落ちるような感覚に見舞われて、バランスを失って
それぞれに落下していく。

「明日菜さぁあああん!!」
「ネギぃ!!」

「アイさんっ」
「せ、せっちゃん…。」

とっさに体を掴まれてせっちゃんと共に落下していく。

「アニキ、まままままずいぜ!このままだと、みんなまとめて奈落の底だぁ〜!!」
「明日菜さんっ、刹那さん、アイさんっ杖をつかんでっ!」

ネギ君がそう叫んだ時、私は杖を掴むタイミングを逃してしまった。

「キャーーー!!」

「アイさんっ!!」

せっちゃんの叫ぶ声が聞こえた。

「あ!刹那さんっ待って!!」

フッときがつくとせっちゃんがネギ君の杖を離して猛スピードで私のところに
落ちてきて私の腕をガシッとつかんだ。。

「せ、せっちゃん。」
「大丈夫ですか?アイさんっ」
「…う、うん…でも二人とも…落ちちゃうっっ」

上から明日菜を乗せたネギ君が私達を追って急降下してくる。

「アニキっ!刹那の姐さんのアーティファクトだ!」
「うんっ!!」

「パートナー!桜咲刹那!…我に示せ!真の力を!…契約!発動!!」

せっちゃんの体が急に光り、彼女の体からガクッと力が抜ける。

「せっちゃん!?」

一度強く輝いてから彼女の背中から羽が生える。

「よっしゃ!レアカードだっ!!」

彼女は私を抱きかかえ、翼をはためかせて上へ上昇する。

「もう、大丈夫ですよ、アイさん。」
「…ありがと。」

アニメの『このせつ』宛ら、私を軽々と抱きかかえたせっちゃんは
無事ネギ君の元に合流した。

「これから、どうしますか?」
「とにかく、これじゃなんにも見えないじゃない。」
「チョット待ってください。…アールテスカット!」

小さな杖を取り出してネギ君が呪文を唱えると数cm先に光の玉が
現れ、辺りを照らした。
照らされた周りの風景は相変わらず暗闇のようで左右も下もなにも
区別がつかない空間。仕方がないので私たちは取りあえず真っ暗な
辺りを見回してゆっくりと下へ向かう事にした。

「…えっ!?」

どれくらい下におりたのか判らないけど、突然せっちゃんがそうつぶやいた。

「どうしたの?せっちゃん。」
「いま…お嬢様の声が…。」

??私は何も喋ってなかったんだけど…。得に耳を澄ましても何も
聞こえない。…首を傾げていると、耳にというよりも頭の中に直接
響くような感覚が飛び込んで来た。

 『アイさんっ!!』

「ゆ、ゆうちゃんっ!?」

確かにせっちゃんではなく、ゆうちゃんの声がする!

「ネギ君、」「ネギ先生!」

私とせっちゃんは同時に叫んだ。


■『タク』@衛 乃香


「お嬢様っ!光がっ!!」

うちの手を引いて必死で走ってくれているゆうさんが突然そう叫んだ。
言われて前を向くと、さっきまで何にもなかったのに、まーるぃ光が
突然現れた様やった。

「取りあえず、行きましょう。ここで止まってしまっては、後ろの怪物に
 飲み込まれるだけですっ」
「そやなっ!」

手をつないだまま二人で光り目指して走った。

「あれはっ!!」
「ネギ君っっ明日菜ぁ〜!!」

やっと見つけた。やっぱり助けに来てくれた。

「アイさんっと刹那もっ!」
「せっちゃんっ!!


ネギ君のカードの力で白い翼の生えたせっちゃんが、誰かを抱えてソコにいた。
だれやろ………そこは当たり前に自分の場所だったからちょっとだけ
悲しかった。

「やっぱり来てくれた。アイさんっっ!!」

横を見るともの凄く嬉しそうな顔でそう叫ぶゆうさんがいた。…アイさんという人が
ほんまにうらやましぃ。

「お嬢様、もうすぐですからね!あちらに向かって大声で呼んでみましょうっ」
「うん、そやね。」

せっちゃんがうちの事をキライになっていないか少し心配になって
複雑な気持ちでそう、答えた。…会ぅた時にどんな顔したらえぇんやろ…。


「ねーぎせんせーい!!あすなさーん!!!」
「…せーっちゃーーーん!!!!」


ゆうさんと一緒に大声で叫んでみる。…せやけど…。なんか様子がおかしぃ。

「なんや、変と違う?」
「…なんだかこちらの声が届いていないみたいですね…。」

同じ高さやのに、みんなは杖に乗ったり、せっちゃんは翼で飛んでたりする
辺りも変やないかな…。

「もしかして、うちらがおるところと、ネギ君達がおるところ、また
 次元がちがうんやろぅか…。」
「すぐ側にいるのに…。」

その時やった、突然だいぶん後ろにおったはずの怪物がいつのまにか
うちらの側まで来てて、遅いかかってきた。

「お嬢様っ!!」
「ゆうさんっ」

真っ黒な波の様に覆いかぶさる黒い怪物はうちらを飲み込もうと、
何度も何度も襲ってきて、ついにうちらは離ればなれになってしもた。

おねがいや、気ぃついてぇな!!…

『せっちゃんっ!!』




■『タク』@!?

「…テル・マ・アモリスタ!!」
バリーンッ!!!

『神鳴流奥儀!!百花繚乱っ!!!』

グワワワ!!!!という凄まじい音と共に木乃香達に襲いかかっていた
真っ黒な波を刹那が突き飛ばす。

「お嬢様っ!!お怪我はありませんかっ!?」
「せっちゃんっ!!」

木乃香の元に刹那が舞い降りる。

「ゆうちゃんっっ」
「アイさんっ!!」

刹那から飛びおりたアイは力一杯走ってゆうに駆け寄り抱きしめる。

「もぅ、心配したんだから。」
「ごめんなさぃ。」

「よし!これでみんなそろったのね!!」

ネギの杖からおりて明日菜も刹那と木乃香の元へ駆け寄る。

「まってください!!まだ、怪物がっ!!」

散り散りになった怪物がそれぞれ動き出し、更に大きな波になる。

「いけねぇ!兄貴!!こいつぁ無限増殖魔獣だっ!!」
「どうしてこんな所にっ」

杖を構えるネギの元に5人が集まる。
カモ曰く、木乃香の魔法に引きつけられたのはゆうだけではなく、
最下層にいるはずの無限増殖魔獣までもが一緒にやって来たということだ。

「くっ…」
「せっちゃんっ!?大丈夫???」
「…時、時間切れの様です…。」

刹那のカード効力が切れ、元の姿に戻ってしまった。

「ネギ、次は私の番よ。」
「待ってくれ、明日菜の姐さんっ、無限増殖魔獣相手に姐さんと兄貴
 だけの戦力じゃらちがあかねぇ!」
「じゃ、どうすんのよっ!」

「仮契約ッス!よ、仮契約っ!!」
「誰と?」
「誰が?」

明日菜とアイがカモに聞き返すとカモは片目をつぶって
親指を前にビシッと突き出し『兄貴と姐さん方が♪』と得意げ言った。

「はぁぁぁぁん!?」
「この、エロオコジョ〜!!!」
「ガァァアアアアア!!!!」

明日菜とアイが同時にカモを掴んで握りつぶす。

「な、なかなかのコンビネーションですね。」
「はははははは……もぉ、アイさんたら…。」

あきれる4人を後目に魔獣はさらに押し迫って来ていた。

「明日菜さんっ!後ろ!!」

刹那が叫ぶと同時に魔獣が明日菜達に覆いかぶさろうとした。

『サギタ・マギカ・セリエス・ルーキス』

ネギが咄嗟に光の矢を放つ。

「時間がねぇ!」

カモは二人の側から飛び降りてゆうの元へ走る。

「姐さん、ここはオコジョのメンツをかけて仮契約してやってくだせぃ」
「あ、はい。わかりました。」
「ゆうちゃんっ!?」

ゆうは両膝をついてネギの両手を握る。

「じゃ、いきますよ?」
「ははは…はいっ!」

パァーっと辺りが光り、魔法陣が浮かび上がる。にっこりと笑って
ゆうは以外にあっさりとネギにキスをする。

「ゆ、ゆうちゃんっ!」
「よっしゃ!パークティオー!!!」

アニメで見たままに、ゆうの体が浮かび上がり光に包まれた3枚のカードが
ゆうの体の中に入り込む。

「仮契約っ完了っ!」

カモの言葉と同時にゆうはすくっと立ち上がる。そこに心配してアイが駆け寄る。
何を言ってもアニメの中の出来事。次元が違う所からやって来た二人が
同じ様に契約をしても大丈夫という保証はなかった。

「…だいじょうぶなの??」
「はい。元気です♪」

心配するアイも少しあきれ気味だったりする。…相変わらず後先を
考えないんだから…と。

「ネギ、取りあえず私たちの契約を発動して!」
「わかりました。」
「怪物は私たちが引きつけておきますので、ネギ先生はその間に時空魔法を。」
「わかりました。木乃香さん、それからアイさんは補助魔法のお手伝いを
 していただいてもよろしいでしょうか?」
「え!?私?」

予想していなかったネギの言葉に驚くアイ。なにせ、何も出来ない自分に
魔法の手伝いなんてどうしろと…。

「木乃香さんの京都訛りでは正しく発音できない場合があります。だから
 木乃香さんと手を繋いでください。」

「え、こぅ?」

ネギの言葉に二人が手をつなぐとネギが魔法をかける。

「はい、これでアイさんの言葉は木乃香さんの言葉と同一の物になります。
 今までお聴きしている限りではアイさんの発音の方が安定感があります。」
「あーまぁ…」

お仕事ですから…と突っ込みたい気持ちをぐいっと抑えてアイは木乃香に
よろしくね、と頭を下げる。

「では、いきますよっ!」

『パートナー神楽坂明日菜!・小林ゆう!我に示せ…真の力を!!…
 契約っっッ発動!!!!!』

二人の体から抜き取られたカードが発光し、二人を包み込む。

「頼むぞ!レアカードっ!!」

明日菜は大振りの刀を振りかざし、その身に鎧をまとって現れる。
ゆうはなぜか白衣に身を包み、手元にイラストボードと筆が現れた。

「…なんでしょう…これ。」
「姐さんのはコスプレカードっすね!!」

「ゆ…ゆうちゃんっまさかっそのアーティファクトって」

 
画伯っ!?

ただ独りアイだけがたじろぐ。

「いっくわよー!!」
「私も助太刀致しますっ!」

明日菜と刹那が一斉に飛びかかる。

「私はいったい何をしたら良いのでしょうか…。」

ひとり戸惑うゆうにカモがとりあえず、筆でイラストボードに
何かを描いてみろと、指示をした。おそらく、ハルナのアーティファクト
と同一だろうと言う事なのだが…。


「イラスト…ですか…。…わかりました。えーっと…じゃぁ刹那を、書きます… v」

ゆうはいつもの様にイラストボードを立てかけて筆をいれる。

「えっと…これはあれですね、早乙女ハルナちゃんと同じ力だと
 いう事ですよね…だったらせっちゃんも実体化するので、ちょっと強めに…。」


ゆうはなんだかひとり楽しげに絵を描いていた。


「たぁぁぁ!!」明日菜と刹那は切っても切っても増えていく魔獣にもっか
応戦中…。明日菜が魔獣を消してもまたどこからともなく現れる。

「もぉ!!いったいなんなのよぉ!!」
「明日菜さんっ右っ」
「えっ!?」
刹那の言葉に振り向いた瞬間に明日菜は魔獣に払い飛ばされる。


「きゃぁぁああ!!」

「明日菜さんッ!!」

「っ…大丈夫よっネギ!ほら、あんたは早く時空魔法を…」

明日菜は立ち上がり再び剣を構えて飛び掛る。ネギはうなずいて
木乃香とアイの元に駆け寄る。

「お2人ともいいですか?」
「はぃ。」

ネギは杖を構えて「では、いきますっ!」と二人に告げた。


「できました!」なんとなく一人のんびりと違う空気をかもしつつゆうがイラストボードを
さげた。そして、いきますよ!といってフーーーッとその絵に息を吹きかける。
すると、筆で描かれた絵?がバラバラと飛んでいき、やがて巨大なゴーレムとなって
現れた。

「ちょっっ!!なによぉつコレッッ」

突然現れた巨大な…物体に明日菜たちは驚きを隠せない。

「いったいなんなんですかっ!あれはっ!!」
「え、一応せっちゃんを描いたんだけど…強い方が良いとおもって大きめの剣と
 まっしろな翼をつけました♪」

「お、大き目の剣?…翼?…えなに?あれ人?」
「と、いうか…あれ、わたしですか…。」
「はぃっ♪」

あっけにとられている明日菜と刹那に笑顔ではいっと答えるゆうは
ある意味一番強いのかもしれないとこっそり思うオコジョ妖精、
アルベール・カモミール。

「あれ、つよいの?」
「はいっ♪」


ドォオオオオン!!!


明日菜に強い?と聞かれ自信を持ってハイと答えた瞬間に刹那?ゴーレムは
その足のバランスの悪さに自分でこけた。

「ええぇぇぇえ- - -弱ぇぇぇぇえ- - - - -(汗」

「あ、ほら、がんばって、立って立って」

ゆうがゴーレムの近くでぴょこぴょこはねると急にゴーレムは魂が宿ったかの
ごとく機敏に動きだし、そしてゆうの動きに見事にリンクする。

「わ、すごい〜!私と同じ動きをするんですね〜♪えーっすごーいっ☆
 とりあえず、ハッピーマテリアルとか踊っちゃおっかな♪」

ゆうが歌いながら踊るとゴーレムも一緒に踊り初めて立ちはだかる
魔獣を次々と殴り飛ばしていった。

「あ…あれはあれでいいのよね…。」
「…ですね…。と、いうか…アレのドコがわたしなのでしょうか…。」

明日菜と刹那は互いに顔を見合わせてただただ苦笑いするだけだった。

『『ラス・テル マ・スキル マギステル…』』

後ろでは既にネギと木乃香+アイによる魔法詠唱が始まっていた。

「アイさん、いくぇ、うちがいう呪文をそのままいうてぇな?」
「うん、わかった。」

アイは自分の声と話をしているようで、なんとか訛りにつられないように
深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。…まっずい、アフレコより緊張する。
とか思いながら…。

『幾重もの世界、我らは訪れる、風の様に、鳥のように…ボラレ・ユビキタス
 …テル・マ・アモリスタッ
『時の重なり、常たる物のある場所へ、我らを導け…テル・マ・アモリスタッ』

ネギとアイの詠唱により大きな魔方陣が描かれ漂流した6人と1匹を包み込む。

「まずぃ!兄貴っ魔獣がっ!!」

魔法陣の中に魔獣が侵入する。

「これ、つれてかえったらたいへんやわっ!」

木乃香の言葉に明日菜・刹那・ゆうが反応する。

「いきます!!神鳴ゆう奥儀!つかんでぇ〜なげるぅっ!!」
勝手に作った奥儀でゆうのゴーレムが魔獣をつかんで魔法陣の中から
外に思い切り放り投げた。

「神鳴流奥儀!雷鳴剣ッ!!」
刹那が気の宿った剣で魔獣を切り飛ばす。

「あーーーんたたちぃ〜!!!し、つ…っこいの、よーーーーー!!!」
大きな剣で明日菜はまとめて魔獣をさらい飛ばした。

それと同時に6人を包んだ魔法陣が強く光ってそして6人ごと消えた。



■『タク』@桜 


「ちゃん……せっちゃん…、な、せっちゃん…」

「ん…」

ずっしりと鉛のように重い体を、私はゆっくりと起こした。

「せっちゃん…随分うなされ取ったようやけど…大丈夫なん?どっか具合でも悪いン?」

隣には心配そうに覗き込むお嬢様の顔。…あぁ…なんだかやっと
戻ってきたんだな…。なぜかそんな気持ちでいっぱいになった。

「ん?なんや、うちの顔に、なんかついとる?」

私が、あまりにもジッとお嬢様のお顔をみてしまったので、心なしか
顔を赤くして自分の顔を触っている。
なんだか妙に安心して、そんなお嬢様を観る事が幸せすぎて
自然と笑顔がこぼれる。

「んもぉ、そなぃに笑わんといてぇな、うちはずかしぃわ〜。」
「クスクスクス…いや、申し訳ありません。…でも…、お嬢様を観ていると
 なんだか凄く安心してしまうんです。…今日は得に。」
「せ、、、、せっちゃん…。」

お嬢様とは幼少の頃からずっと一緒にいて、お嬢様がいない生活は
私の中では考えられない事だ。

「んーでも、今日は明日菜たちがおらんでよかったわ〜。」
「?なぜですか?」

お嬢様はそういいながら私の胸に寄りかかる。

「おおおお、お嬢様ッ!?」
「だってー、せっちゃんとふたりになれたもぉーん…。」

こうやってむき出しにご自分の感情をぶつけてくるお嬢様が時々
うらやましくなる。…私だって、誰にも負けないくらいお嬢様が大切で
その思いは決してこの先も揺らぐ事はない。

「せっちゃんが、まだうちにおったころは、ようこうやって一緒にお昼寝したなぁ」
「…そうですね…。」
「あん頃は、せっちゃん、うちのことまだこのちゃんって呼んでくれてたんやねぇ〜」
「…そんな昔の事は…。」

私が近衛家をお嬢様をお守りすると誓った時から封印した記憶。
だがそれは同時にお嬢様と過ごした私にとってかけがえのない大切な記憶。

「な、せっちゃん、今だけでもえぇから、このちゃんって呼んでぇな。」
「お嬢様…。」

大切な記憶に鍵をかけて、それを糧にして、お嬢様をお守りすることだけを
考えて今まで生きてきた。…だからその鍵を易々と開けてもいいものか
どうなのか…正直自分でもわからない。

「な、はよぅ」

お嬢様にお使いすると決めた。だけどそれはお嬢様のご学友だった頃の
私自身を捨ててしまう事ではない…だから…これくらいは…。

「こ、、、このちゃんっ」
「はぃ!せっちゃん♪」

桜咲刹那、たとえこの身が滅びようともこのちゃん、あなたの事をお守りします。


■『タク』@野 


「れ…」

きがつくとソファーの上でうたた寝をしてたみたい。隣でゆうちゃんも良く寝ている。
どうせだからちょっと眺めておこうなんておもったりして、彼女の顔の側までしゃがんで
その、小さくて綺麗に整った顔をじっと眺めていた。

「んぅ……、あ、アイさん…。」
「はょ、ゆうちゃん。」
「おはようございます…うたた寝しちゃったんですね。」

彼女はそういいながらゆっくりと上半身を起こした。綺麗な髪が肩にサラサラと
音を立てながら降りてくる。そういうのを観てると、本当にキレーな人だなー
なんておもってしまう。

「?どうかしました?」
「んーーん。別に。」
「となり、座らないんですか?」

空いている自分の隣を軽く手で叩きながらそう聴いてくるので、うん。と返して
じっと彼女の顎のラインを見ながら続けた。

「いやぁーこうやって見ると、ほんとうにキレーだなぁとおもったり。して。」
「あ、アイさん///突然、何ですかあ…。」

とっさに顔を覆うゆうちゃん。

「あ、駄目だっては。観てるんだから」

彼女の腕をつかんで降ろさせる。

「わーもぉ、はずかしいですから」

顔を真っ赤にしながら背ける。そのそぶりが可愛くて仕方がない。
私にはそういう可愛さが少したりないかもしれないな…。

「いいなぁ…可愛くて。」
「そ、そんなっ!アイさんの方がもっともっと可愛いです!もぅ、比べ物に
 ならないです。私なんか。…わたしは、アイさんのお顔も大好きですっ」

たまに思う。素直に、躊躇なくはっきりと自分の気持ちを言える彼女が
うらやましくて仕方がない。

「アイさんは…」

無言でジッと観ていると急に彼女の顔が曇る。不思議に思っていると
彼女もソファーから降りて私と同じ目線になるようじゅうたんの上に正座した。

「私を愛してくれていますか?」
「なっ////」

突然なに?なんでそんな恥ずかしい事聞くの?

「な、なんでそんな事きくの?」
「だって…アイさんは私の事を"カワイイ"としか言ってくれないじゃないですか。
 あまり好きだとも言ってくれない。」

…だって、そんなこと、恥ずかしくてそうそう言えるもんじゃないと思う。

「だから…私、本当は私が強引に押しかけてるから…アイさん優しいから
 断りきれなくて、こんな風に一緒にいてくれたりするのかな?とか…」
「な…そんな事あるわけないじゃないっ」

人がいいとか悪いとかなんてこの際関係ないにしても、優しいだけで
こうやって彼女と付き合ってるわけない。

ただ、照れくさくて、あまりにも好きだといっちゃうとその言葉の重みが
ちょっとづつ軽くなっていく気がして。だからあまり言いたくないんだけど。

「わたし…」
「大好きよ。…ちゃんと、愛してる。」

彼女が次の言葉を言う前になぜか素直に言葉がこぼれた。
頭のどこかで『言わなきゃわかんない事だってある』って誰かに
言われた気がする。

「わっ!何で泣くのっ!?」
「だ、だって…グスッ…アイさんにそうやってちゃんと言われること…なかったから…。
 わたし、不安で…。」

ゆうちゃん…。彼女の涙をみてるとなんだかもらい泣きしちゃいそうで、
そんなの恥ずかしすぎるから私は勢い良く彼女を抱きしめた。

「ばっかだな〜ゆうちゃんは。…そんなの取り越し苦労なのに…」
「うん、馬鹿です…。」
「んもぉ、かわいぃな〜。」

たまには素直になる事も大切なのかな…なんてね。


■『タク』@ 

「どうやらうまい事きっかけに戻ったらしいな。」
「はい、マスター。」

「それにしても、奴ら、離れていた数時間の間に原因に気がつき無意識に修復する
 とはな…。愛というやつも、あなどれんものだな。

「…うらやましいのですか?マスター」
「なっ!!違う!バカッ!」
「申し訳ありません。」

事の一連を見守ったエヴァは、どこか得意げな顔をして騒動の起原となり終焉になる
きっかけになった場面を水面鏡でみていた。

「丁度、きっかけの手前に戻るとは、土壇場にしろ木乃香の魔法にもいよいよ
 磨きがかかってきているようだな。フンッ、なかなか面白いものをみせてもらった。」

エヴァが水鏡に手をかざすと、それまで映っていた、二組の映像が波紋とともに消える。

「さて、もう一度、寝なおしだ。」

ベットの布団をはぐり寝ようとした瞬間にバタンッ!と威勢よく扉が開く音がした。

「チッ!何事だッ」

「ええええエヴァちゃんっ大変なのよぉ!!」
「なんだ、神楽坂明日菜っ」
「コ、。コ、校庭に変な生きものがぁ〜!!!」
「はぁ?坊やはどうした。」
「なんだか知んないんだけどぐったりして医務室で寝込んじゃってるのよっ」
「まぁ、実質時空魔法をなんどもつかっているのだから無理もないか…。」

「高畑先生も出張でいないし、」
「知るかッ!面倒くさい事は苦手だっ」
「…!!(怒)ふんぬぬぬぬぬ…!!」
「わ、ちょっばかっ!やめんかっ!!」

エヴァのベットをエヴァごと持ち上げる明日菜。それにオォーと拍手をする茶々丸

「い、い、から、ちょっときなさーい!!」
「わっ!!!人のベットを放り出すなーーーーー!!」

ベットごと明日菜に外に放り出されたエヴァは急に日陰になり、驚いて上を見上げる。

「んぁああああ??なんじゃこりゃーーー!!」

そこにはゆうが描いた刹那の絵、ゴーレムがズーンと立っていた。
どうやらこちらの世界についてきてしまったらしい。

「この、泥人形め…私を人形遣いと知っての愚弄かっ!!」

エヴァはすぐ様糸を張り巡らせゴーレムの自由を奪った。

「ふん、たわいもない…。」

かと思われたのだが…いまのエヴァの力では相手が大きすぎて逆に動きにつられる
ハメとなる。…ちなみにゆうが唯一インプットした動き…『ハッピー☆マテリアル』…

「うわ、やめんか、こらっっ」

「…助けなくていいの?」
「はぃ、…なにやらマスターがとても楽しそうなので…」
「そぅ?」
「はい。」




「こらぁ!!茶々丸ぅ!!!このでくの坊もろとも解体してやるからなぁ!!!!」

ということで、とんだとばっちりを食らったエヴァはゴーレムが消えるまで延々と
『ハッピー☆マテリアル』を踊り続けたらしい…。

「ちゃ、茶々丸…シップを…。」
「はい、マスター」
「ひやーーーー!!ば、ばかっ!!突然張るなー!!」
「申し訳ありません、マスター。」




チャンチャン♪おわる。

2007.1/6 4999Hitゲッター 真希様 リクエスト『このせつ+アイゆう』
web拍手
from 比奈
あーーーーーーー死ぬ!まじで死ぬかと思いました。
2時から最終章をかき始めて今まで(6:00am)までかってしまいました。
夏だと夜が明けますね…(´ヘ`;)いやーそれにしてもなかなか難しい!

中盤が一番きつかったですよ。ほんと、話をどう進めようか迷いました。
こんな感じになってしまいましたがいかがでしょうか。
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